フィギュア撮影の初心者向けに書いてみた その6

2013年6月13日

ずっと体調不良で、やりたい事が出来ないって不便!
何と言うか、原因が特定できないのも問題ありますよね。
全身のだるさとかは日によって違いますが、最もキてるのは胃の辺りと咽喉の辺り。
胃の辺りのわだかまりは医者で薬を貰ってきて快方に向かっているようですが、お腹が空いてきても咽喉に何かが引っ掛かる・・・もとい引っ掛かったままの違和感があって、食事を飲み込めない事が1週間ほど続きました。
その違和感で夜眠れなかったり、ここ一か月ぐらいは大変でした。
しかし何となーく体調が戻りつつあるような感じはするので、このまま良くなってくれるといいのですが・・・。

閑話休題。
前回に引き続き、コンデジとデジイチの比較をしていきます。
今回は長くなるので、2項目だけ解説しますね。

ボケについて

デジイチを購入して何が楽しいって、コンデジとは比べ物にならないぐらい大きなボケです。
最初の頃は、このボケ味に夢中になって、開放付近ばかりで撮るようになってしまいます(笑)。
しかし人間ぐらいの大きな被写体ならともかく、1/8フィギュア程度の大きさになると、途端に邪魔になるのがボケ味と言うものです。
それでは実際に、コンデジとデジイチのボケ方を比較してみましょう。

機材はお馴染みのS95と、比較対象はフルサイズの6Dを使いました。
本当はAPS-Cサイズの60DやNEX-C3で比較したかったのですが、F2.8からの比較をしたかったため、手持ちのレンズではどうしようも無く(笑)。
ですので、換算35mmの画角で比較してみました。
それではチェックをしていきましょう。

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EOS 6D、F1.4
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EOS 6D、F2.0

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S95、F2.8

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EOS 6D、F2.8
mono1231
S95、F4
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EOS 6D、F4.0
mono1232
S95、F5.6
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EOS 6D、F5.6
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S95、F8
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EOS 6D、F8
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EOS 6D、F11

ご覧の通り、同じF値どころか6DをF11まで絞って、ようやくS95のF2.8と同じぐらいのボケの量になります。
フルサイズとAPS-Cのボケの量は、約1段分違う・・・と言われているので、60DでF8まで絞ると、6DのF11と大体同じぐらいのボケの量になる・・・はずです(笑)。
ちなみに絞りの1段分とは、F1.2、F1.4、F2、F4、F5.6、F8、F11、F16・・・となります。
1段開くと光の量が倍になり、絞ると半分になるわけです。

話が逸れましたが、フィギュア撮影においては細部までボケずに写っているのが望ましいので、被写界深度が深いコンデジの方が向いている・・・と言われるのは、この辺りが原因ですね。
ただ、前回の比較を見て分かる通り、コンデジとデジイチの画質の差は埋めようがありません。
その辺りを許容できるかどうかになると思います。

ちなみに上の比較で使っているレンズは35mmです。
フィギュア撮影に用いるマクロレンズは50mm以上が基本ですから、焦点距離が大きくなると、更に被写界深度が浅くなり、ボケが大きくなります。
更に言えば、被写界深度は被写体との距離が近くなるほど浅くなります。
纏めると次の通り。

  • 撮像素子が大きいほど被写界深度が浅くなる
  • レンズが明るくなるほど被写界深度が浅くなる
  • 焦点距離が長いほど被写界深度が浅くなる
  • 被写体に近づくほど被写界深度が浅くなる

並べれば並べるほど、コンデジが有利なのが分かりますね!
しかし撮る数が多くなるほど、デジイチが有利になる不思議現象が発生しますが、そこはまた次の機会にでも。

レンズの交換が出来る

デジイチの一番の特徴ですね。
今までの解説で、画質は同時期のカメラであれば、撮像素子の大きさで左右される・・・と言うのは理解できたかと思います。
しかし、画質はそれだけでは決まりません。
最終的には、撮像素子の大きさよりも、レンズの違いの方が大きく影響します。
つまり、レンズはとても大事。
付属のズームレンズを使うだけなら、SONYのRX-100とか、CANONのPowerShot G1Xなどのセンサーの大きいコンデジを使えば十分です。
何故なら専用に設計されたレンズを積んだ大型センサーのコンデジは、同条件のデジイチの画質に勝るとも劣らないからです。
レンズを交換する事によって、多彩な表現を楽しめる。
デジイチはレンズを交換してこそ・・・ですね。

さて、そのレンズの話です。
ズームレンズと単焦点レンズですが、実の所、巷で言われるほど大きな差はありません。
例えばCANONの誇る神レンズである『EF70-200mm F2.8L IS II USM』ですが、ズームレンズにも関わらず、同焦点距離の単焦点レンズの画質すら凌ぐ程です。
もちろん普及クラスのレンズではなく、同じLレンズとの比較です。
ただ、これらの素晴らしいレンズは非常に高価です。
キットレンズクラスであれば、やはり画質に関しては、単焦点レンズに軍配が上がります。
それでは実際に比較してみましょう。
例によって原寸大なので、右クリックでの閲覧を推奨。

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NEX-C3、SEL1855、55mm、F8、原寸大
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NEX-C3、SEL50F18、50mm、F8、原寸大

写真はRAW現像で、若干数値は弄りましたが、両方とも同じ設定にしてあります。
ピントまで完璧に同じにはできないので、若干誤差はあるはずです。

絞っているので、写真中央の解像度は余り変わらない感じがしますね。
若干、SEL50F18の方がシャープな感じですが、ピントの誤差かも知れません。
ただ他の場所も解像度に違いが出ているので、この辺りがレンズの差なんでしょうね。
画面端も同じような感じです。
しかし、ちょっと擁護できないのは、左側の完璧超人タマ姉の方ですね。
一瞬ピントが外れてるのか? と思いましたが、右側のタマ姉には余り違いが見受けられません。
ひょっとして片ボケ?
元々こういうレンズなのかも知れませんが・・・。
と、まぁ例としては適切ではありませんが、このようにズームレンズと単焦点では、中央付近ではそれほど違いはありませんが、特に端の方で差が出てきます。
特に解像度に関しては遠景などで差が出てくるので、その辺りを踏まえると良いと思います。

ちなみに、これはミラーレスカメラで専用レンズを使っている場合の話。
ではAPS-Cサイズの一眼レフカメラで、フルサイズ用のレンズを使う場合はどうでしょうか。
EOS 60Dで、同じ写真を撮ってみました。

mono1243
NEX-C3、50mm(SEL50F18)、F8、原寸大
mono1244
EOS 60D、50mm、F8、原寸大

全体的に素晴らしい解像感です。
中央付近では殆ど差がないのに対し、端の方では違いが出ています。
つまりAPS-C専用として設計されているEマウントとは違い、フルサイズ用のレンズをAPS-Cで使うと、レンズ中央の部分だけしか写りません。
つまりレンズの美味しい部分だけを使い、光量や解像度が下がる端の方が使われない・・・と言う特徴があります。
本来の画角で使えないと言う欠点もありますが、場合によってはそれが有利に働く場合がある・・・と言う事ですね。

最大撮影倍率

ちなみにレンズには撮影倍率、と言う項目があります。
これはイメージセンサー上に、被写体をどのぐらいの大きさで写し取れるかを数値化した物です。
はい、さっぱり意味が分かりませんね。

例えば1cmの物体を撮影したとします。
それが撮影素子上で半分の大きさで写るのであれば最大撮影倍率は0.5。
同じ1cmの大きさで写るのなら、最大撮影倍率は1:1(等倍)となります。
言葉にすると分かり辛いので、実際に撮り比べてみましょう。

屋内だと違いが顕著に出てしまうので、まずは遠景を撮ってみました。
EF24-105mm F4L IS USMの最大撮影倍率は0.23。
対するEF100mm F2.8L マクロ IS USMの最大撮影倍率は1:1です。
え~と、つまり前者は撮像素子に対して約1/4、後者は等倍に写る、と言う事です。

mono1250
EOS 60D。EF24-105mm F4L IS USM、100mm
mono1251
EOS 60D、EF100mm F2.8L マクロ IS USM、100mm

このように遠景を撮った場合ですと、若干の違いはありますが殆ど差が出ません。
しかし撮影倍率とは、本来は最短撮影距離で撮影した場合に使うものです。
ただ基本的に、最短撮影距離はレンズによって異なります。
ですので、まずは片方に合わせてみます。
この場合は、EF24-105mm F4L IS USMの0.45mですね。

mono1252
EOS 6D。EF24-105mm F4L IS USM、100mm
mono1253
EOS 6D、EF100mm F2.8L マクロ IS USM、100mm

45cmまでしか寄れないとか、フィギュア撮影には使えないわ・・・!
見ての通りEF24-105mm F4L IS USMだと、最大でこの距離までしか近寄れません。
1/7サイズでこの程度ですから、1/8フィギュアだと大分厳しそうな感じがしますねー。
対してEF100mm F2.8L マクロ IS USMは、同じ位置、同じ焦点距離での撮影なのに、写っている大きさが全然違います。
これが撮影倍率の違いですね。
マクロレンズ=寄れるレンズ・・・ではなく、『大きく写せる』レンズ、と言うわけです。
だからこそ、フィギュア撮影にはマクロレンズが推奨されているわけですね。

mono1254
EOS 6D、EF100mm F2.8L マクロ IS USM、100mm

ちなみに、これが100mmマクロの最短撮影距離での写真です。
EF24-105mm F4L IS USMがゴミのようだ。
これが50mmのマクロレンズだと、レンズが接触する寸前まで近寄れますが・・・以前にも書きましたが、それだとレンズそのものが照明の影になってしまうので、ライティングに影響が出ます。
中望遠以上のマクロレンズが、やはり撮影には望ましそうです。

続きます。

フィギュア撮影の初心者向けに書いてみた
フィギュア撮影の初心者向けに書いてみた その2
フィギュア撮影の初心者向けに書いてみた その3
フィギュア撮影の初心者向けに書いてみた その4
フィギュア撮影の初心者向けに書いてみた その5
フィギュア撮影の初心者向けに書いてみた その7