フィギュア撮影の初心者向けに書いてみた その5
前回まで読んでくれた方、お疲れ様でした!
コンデジであっても、ライティング次第で綺麗に撮影出来る事は、大体お分かり頂けたかと思います。
引き続きライティング応用編でも書こうかと思いましたが・・・それでも画質に不満を覚える方はいるとは思います。
今回は、そんな納得のいかないお友達向けのお話です。
そうです。
ついにカメラのステップアップの話になります。
ぶっちゃけ、つまらない話になると思いますので、ご覚悟をお願いします(笑)。
さてさて。
カメラのステップアップと言っても、幾つか道筋があります。
その中で最も違いが分かりやすいのが、コンデジからデジイチへのステップアップですね。
私も初めてデジイチを購入して撮影してみた時には、その素晴らしい画質に感動したものです。
しかし現実問題、コンデジとデジイチって、どの程度違うのか?
あくまでもブツ撮りに関連する項目だけですが、解説してみたいと思います。
まったりカキカキしていくので、お付き合い下さいませ。
撮像素子の大きさによる画角の違い
それではまず、一番変化が分かりやすい焦点距離について書いていきますね。
余り意味がない解説項目のような気がしないでもないですが、コンデジからデジイチにステップアップをして、想像していたよりも写る範囲が狭くてなってアレ? と思った経験はありませんか。
私はあります!
それが『画角』の違いで、コンデジからステップアップする以上、必ず起こる問題です。
『画角』とは写真に写る範囲を角度に数値化した物ですね。
例えば人間の視界に最も近いと言われる50mmの画角は46.8度。
その倍である100mmは24.4度になります。
ただし、この画角をそのままの数値で扱えるのはフルサイズセンサーだけです。
APS-Cサイズなら焦点距離は1.5倍になりますし、一見画角がフルサイズと一緒のコンデジでも、実は焦点距離の小さいレンズを使っているだけですからねー。
そう言うわけで、実際にどの程度画角に変化があるのか比較してみましたよっと。
比較するにあたって用意したのは以下の4台。
- Canon PowerShot S95
- SONY NEX-C3
- Canon EOS 60D
- Canon EOS 6D
m4/3や1型もあれば良かったのですけどねー。
流石に幾つも買えませんからねー。
使うレンズの焦点距離は50mm、絞りはF8で統一。
三脚と雲台の位置と角度は全て同じにしてありますが、カメラやレンズの大きさによって位置関係が変化してしまうので、あくまで目安程度にご覧下さい。
EOS 60D、APS-C、換算80mm |
EOS 6D フルサイズ 換算50mm |
完全に結果が真っ二つになりましたね、当たり前ですけど。
S95のレンズの焦点距離は、6.0mm~22.5mmですが、1/1.7型センサーなので画角は4.66・・・倍。
つまり35mm換算で約28mm-105mmになります。
コンデジは専用レンズを使っているため、画角は表記上の焦点距離そのままで使えます。
つまり、S95で50mmを選択すれば、フルサイズの6Dとほぼ同じ画角になるわけですね。
それに対してNEX-C3の画角は1.5倍、焦点距離は35mm換算で75mm。
60DのセンサーはNEX-C3より少し小さいため画角は1.6倍になり、焦点距離は35mm換算で80mm。
フルサイズと比べると、随分アップになってしまいましたね。
フィギュアの全身を写そうと思うと、もっと後ろに下がらなければいけません。
この辺りが、APS-Cサイズの50mmは室内では使い辛い・・・と言われる所以です。
まー、フィギュア撮影には50mmだと少々短いのですけどねー。
ちなみに所持していないので載せていませんが、m4/3の画角は約2倍で、35mm換算100mm。
1型センサーだと約2.7倍で、35mm換算135mmの焦点距離となります。
室内で135mmとかマジキチ。
つまり撮像素子が大きいほど広角に強くなり、小さいほど広角に弱く。
その逆も然りで、大きいほど望遠に弱くなり、小さいほど望遠に強くなります。
つまり狭い部屋だとm4/3や1型センサーは厳しい!
と言う事になりますね。
・・・ちなみに結論付けておいてなんですが、m4/3や1型センサーはそれに合わせた焦点距離の短いレンズで構成されているので、使用上は何ら問題は無かったりします(笑)。
これ以上はフィギュア撮影に関係なくなるので割愛します。
撮像素子のサイズによる画質
撮像素子と言う単語だけだと「ん?」と首を捻ってしまいそうですが、カメラの受光部・・・センサーの事です。
機種やメーカーによって違いますが、基本的に『COMS』、『CCD』と言ったセンサーが搭載されています。
その違いに関しては割愛。
基本的に、このセンサーが大きければ大きいほど画質的に有利になります。
コンデジに比べてノイズが少なかったり、ダイナミックレンジの幅が広かったりするわけですね。
ちなみにダイナミックレンジと言うのは、階調の事。
つまりこれの幅が広いと、白トビや黒潰れがしにくくなる・・・と言う事です。
コンデジだと白トビしていた場所が、デジイチで撮影すると粘り強く残っているのは、その辺りが理由です。
じゃあ、コンデジとデジイチのセンサーってどのぐらい大きさが違うの?
と言う事ですが、センサーの大きさの比較を作ってみました。
35mmフルサイズ |
APS-C |
APS-C(CANON) |
m4/3 |
1 |
1/1.7 |
1/2.3 |
フルサイズのセンサーを基準として比較すると、各センサーの大きさはこんな感じになります。
これらのセンサーが搭載されている機種は、以下に独断と偏見で代表的な物を挙げてみました。
- フルサイズ(Canon EOS6D、Nikon D600、SONY α99)
- APS-C(Canon EOS Kiss 6x、Nikon D7000、SONY α57)
- m4/3(Panasonic DMC-GH3、Olympus OM-D E-M5)
- 1型(Nikon 1 J3、SONY DSC-RX100)
- 1/1.7型(高級コンデジ)
- 1/2.3型(一般的なコンデジ)
今までの『フィギュア撮影の初心者向けに書いてみた』で使ってきたカメラはS95。
センサーサイズは通常のコンデジとしては大型の1/1.7型です。
デジイチとして一般的なAPS-Cサイズに比べると、大型の1/1.7型でも随分差があるのが分かると思います。
ちなみにiPhoneに搭載されているカメラのセンサーサイズは1/3.2型。
1/2.3型よりも更に小さいですね。
センサーサイズが全てではありませんが、その大きさが画質を左右する事実は間違いありません。
それでは実際の画質はどの程度違いがあるのでしょうか。
Jpeg撮って出しの画像で比較してみます。
使用した機種は、NEX-C3とS95。
APS-Cサイズと、1/1.7型サイズになりますね。
画素数が違うので、画像の大きさが違うのはご愛嬌。
サイズを合わせると、S95が不利になってしまうので、あえてそのままです。
WBはグレーカードにて両方とも合わせてあります。
ちなみに次の2枚の写真は原寸大サイズのため、画像はとてつもなく大きいです。
普通にクリックすると凄いサイズのポップアップ画像が表示されるので、右クリックで別のタグや別ウィンドウで開くようにして下さいね。
S95 1/1.7型 換算85mm 原寸大 |
NEX-C3 APS-C 換算83mm 原寸大 |
実際に比較してみて、どう感じますでしょうか。
色合いの鮮やかさが違うのは、カメラやレンズの方向性もあるので深くは言及はしませんが、一般的に撮像素子が大きい方が色の再現度が正確になります。
この場合はJPEGの撮って出しなので、正直両方とも色の再現に関しては怪しいですが、より忠実に再現しているのはNEX-C3の方です。
またNEX-C3の方が被写界深度が浅いので前後や背景はボケているはずですが、後ろ髪や境界線など、S95の方がボケて・・・と言うよりは、色が滲んでしまっています。
暗部のノイズなどもNEX-C3の方が圧倒的に少ないです。
また画素数の違いもあるので深くは言及しませんが、細かい装飾など、ディテールにも差が出ていますね。
S95は画質に定評のあるコンデジですが、それでもこれだけの差が生じるわけです。
ちなみにNEX-C3で使っているレンズは、キットレンズのSEL1855。
描写力の評判はそれ程宜しくはありません。
それでもこれだけ画質に差が出るわけなので、デジイチに移行すると言う事は、コンデジのこの画質に我慢が出来ない人・・・と言う事になります。
しかし、本当にデジイチがいいかと言うと、そうとも言い切れません。
人によって用途が違うからです。
例えば、Web用・・・blogなどに写真を掲載する場合、オリジナルサイズのままアップロードする人はまずいません。
大抵リサイズして掲載するはずですね。
ではリサイズするとどうなるかと言うと、まず細かいノイズが潰れて見えなくなります。
僅かな色の滲みであれば、やはり潰れて目立たなくなるでしょう。
多少ピントが合っていなくても、合っているように見えるようになります。
S95 853×1280pixel |
NEX-C3 851×1280pixel |
上の写真をそのままリサイズしてみました。
サイズは私がレビューで使っている、片辺1280pixelサイズ。
上の写真で気になった部分は良く見れば分かると思いますが、じっくり見ないと殆ど分かりませんね。
正直blog用としてはこれでも大きいサイズですので、普通に使う分には更に小さくリサイズされるはずです。
粗は殆ど目立たなくなりますね。
つまり、デジイチが必要になるかどうかは、使う人の用途次第です。
良く考えてみて下さいね。
RAWファイルが扱える
RAWファイルとはなんぞや?
銀塩のカメラで言えば、ネガフィルムにあたる現像前の生データの事ですね。
撮って出しのJpegよりもダイナミックレンジが広く、尚且つ加工しても画質が劣化しない特徴があります。
高級コンデジならRAWファイルが扱える機種もありますが、基本的にはデジイチの専売特許です。
RAWファイルを現像するためには、専用のソフトが必要となります。
基本的にデジイチであればメーカー製の現像ソフトが付属しているはずですので、そちらを使って頂ければ宜しいかと。
ちなみに私はAdobe『Lightroom4』を使用しています。
さて。
撮像素子の項目で使った写真を、実際にRAW現像してみましょう。
それに伴って、Lightroonでやった事は以下の通り。
- 僅かに傾いているので、水平に調節
- 全体的に少し暗いので、露光量を1/3プラス補正
- 白トビを軽減するために、ハイライトをマイナス補正
- 直接光が当たってない部分が暗いので、シャドウをプラス補正
- 白レベルで更に明るさを細かく調整
- 全体を引き締めるために黒レベルを細かく調整
- コントラストで更に細かく調整
- 服の色が青々しすぎるので、彩度『ブルー』をマイナス補正
- 彩度『ブルー』でニーソまで彩度が下がってしまったので、『パープル』でプラス補正
- ノイズフィルターをディティールが失われない程度に調整
- 何となくレンズ補正を使用。歪曲と周辺光量を補正してみる
こんな感じです。
最後のはやった方がいいのかやらない方がいいのか、正直分かりません(笑)。
ただズームレンズは歪曲が大きいのが基本なので、取り敢えずやってみましたー。
結果は以下の通り。
例によって原寸大なので、右クリックで画像を開くのを推奨。
RAW現像で、実物にかなり近い色の再現ができました。
ただ実物はもっと全体的彩度が低いですし(特に服の青色)、本物に近づけるのであれば更に調整が必要です。
でもねえ。
人の環境によってモニタの色が違いますし、実物に色を合わせると地味になります。
自分が満足いく仕上がりになればいいんじゃないかなー(適当)。
まだまだ続きます。
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