フィギュア撮影の初心者向けに書いてみた その3

2017年5月28日

兄者の引っ越しのお手伝いで、数少ない連休が潰れた件について。
や、美味しい物も食べられたし、いいんですけどね。
ただ3日間で取る予定だった疲れが、全然取れてないのが厳しいですね。。。

 

そんなこんなで続きを書いていきます。
果たして、この一連の記事は需要があるのかねえ(笑)。
まずは前回をおさらいしますと・・・

 

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家にある物+αで、左の写真のような配置で右のような写真程度なら簡単に撮れます。
と言う所まで書きました。
背景紙が汚いのは勘弁して下さい。
用意してみたものの、予想以上にグラデーションペーパーの劣化が激しいのじゃよ!
また無駄に撮影に時間がかかるので、今回からはRIFA-Fを使っていきます。

 

今まで殆ど触れませんでしたが、カメラ周りや小道具のお話をしたいと思います。
詳しく仕組み等を解説すると無駄に長くなるので、要点だけ抑えて解説していきます。
本気で書けば一つの項目だけでも、1記事以上書けますからねえ・・・。
ここからは専門用語が増えますが、頑張って付いてきて下さいね!

それでは順を追ってひとつひとつ簡単に解説していきます。
詳しい仕様解説を知りたい場合は、詳しく書いてくれている専門サイト様が幾つもありますので、探してみて下さいね。
手抜きと言われれば、そうかも知れません(笑)。

 

撮影モードはマニュアルモードで

オート撮影オンリーのコンデジの場合は仕方がないですが、このモードが付いているカメラでは優先的にコレを選択します。
『絞り優先AE』でも問題ありません。
ただ『シャッター速度優先』は絞りがコントロール出来ないので、お勧めし兼ねます。
『絞り』、『露出補正』、『ISO感度』、『ホワイトバランス』の4項目を自分で設定出来れば良いわけです。
これが無いカメラだと、それなりにしか撮れません。

 

ホワイトバランスを変更する

写真撮影において、全ての基本となる一番大事な項目です。
ホワイトバランス(以降、WB)とは様々な光源の元、カメラに『白色』を『白色』として認識させ、それを基準として全体の色を調整する機能です。
この基準がおかしいと、妙な色合いの写真が出来上がってしまいます。

 

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WB:オート

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WB:白熱球

 

上の写真は電球型蛍光灯(昼白色)の光源の元、WBを『オート』、『白熱球』に設定して撮影したものです。
オートだとまぁまぁの色合いですが、白熱球だと明らかに色がおかしくなっています。
光源に適した設定をしてやらないと、色がおかしくなってしまうわけですね。
この場合は白色蛍光灯を使っていますから、プリセット『蛍光灯』が無難です。

また所有しているカメラに『マニュアルホワイトバランス(カスタムホワイトバランス)』の項目があるのなら、より正確なWBを設定する事ができます。
その際に白色として認識させるための小道具が必要になりますが、白色であれば何でも構いません。
安く済ませるならコピー用紙が一番でしょうか。
ただ『グレーカード』と呼ばれる『18%標準反射板』を用いれば、更に正確なWBをとる事が出来ます。

 

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下側の灰色のカードがグレーカード
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WB:マニュアル グレーカードで補正

 

基準となる色が正確であれば、後処理が大変楽になります。
市販価格で1,200円前後ですし、フィギュア撮影以外にも様々な場面で使えます。
買っておいても損はないでしょう。

グレーカードの使い方ですが、撮りたい場所でグレーカードを撮影して、それをマニュアルWBの画像として設定するだけ。
カメラによっては中央付近にWB調整用の小道具が写っていれば良かったり、逆に画面一杯に写さなければいけなかったり仕様が違ったりしますが、その辺りはマニュアルと睨めっこして下さい。

 

F値を絞る

F値とはレンズの明るさ・・・絞りの開き具合を数値化した項目の事です。
同時にピントの合う範囲にも影響します。
ピントの合う範囲?
と首を傾げる人もいるかも知れませんが、狙った場所を中心として前後(手前と奥)でどの程度の広さでピントが合っているように見えるか・・・と言う事ですね。
ピントの合っている範囲ではクッキリ、それから外れると段々ボケていきます。
この『ピントの合う範囲』の事を『被写界深度』と呼びます。
ちなみにF値を小さくする事を『絞りを開く(開放)』、逆に大きくする事を『絞り込む(絞り)』・・・と表現します。
またF値を設定できる最低値まで小さくする事を『開放絞り』と呼びます。

 

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F1.4
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F13

 

極端な例なのでデジイチを使っていますが、双方ともピントを合わせているのは『瞳』で、F値だけを変更しています。
F1.4の方は、瞳から少し前後に外れただけで猛烈にボケていっていますよね。
髪の毛の先端辺りで、すでにピントが合っていません。
これはF値が非常に明るいため、被写界深度の厚みがmm単位と極めて浅くなっているためです。
静止している被写体であっても、手ブレだけで被写界深度から外れるほどにピントの合う範囲が狭いので、撮影は極めて困難。

逆にF13まで絞ると、全体的にピントが合い、クッキリしていますね。
フィギュアの撮影としては大部分のピントが合っている方が望ましいので、GJな写真になります。
そんな感じで、フィギュア撮影ではF8~F13程度に絞るのがベストではないでしょうか。

 

ちなみにコンデジの場合は被写界深度が非常に深いため、F値の影響はそれほどありません。
また最大でF8ぐらいまでしか絞れないので、取り敢えずF8にしておけばいいのではないですかねー(適当過ぎ)。

 

低感度で撮る

ISO感度は常に最低感度に設定しておきましょう。
TV等で『高感度カメラで撮影』・・・とか耳にしますよね。
光を取り入れる量を機械的に増やす事によって、暗い場所でも明るく撮影できるわけです。
アレはビデオカメラですが、デジカメでも明るく撮影するために使うのは一緒です。
ただデジカメは静止画を切り取るカメラですから、シャッター速度(以降、SS)を上げるために使われます。
では何故SSを上げる必要があるかと言うと、手ブレが起こらないようにするためです。

 

手ブレを起こす限界=1/焦点距離(mm)秒

 

と言われています。
つまり100mmのレンズを使っていたら、最低1/100はSSがないと手ブレするよ、と言う事ですね。
今はどのカメラにも手ブレ補正が搭載されているので難度は下がっていますが、どちらにしてもある程度のSSがないと手持ち撮影は難しくなります。
F値を小さくしてもSSは上がりますが、被写界深度が変わってしまいます。
撮りたい画をコントロールしたいのに、それでは台無しです。
ISO感度はレンズ本体ではなく、カメラ本体で光をコントロールできるようにする機能・・・と理解して貰えば良いかと。

F値とISO感度を合わせれば、かなり暗い場所でも手持ちで撮影できる可能性が大きくなります。
が、感度を上げれば上げるほど、写真にはノイズが乗るようになります。

 

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ISO:100 F9 SS1/2秒
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ISO:1600 F9 1/30秒
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ISO:6400 F9 1/125秒

 

ISO感度は左から100/1600/6400と上がっていて、それに伴いSSも大きく変化しています。
しかしその反面、SSが速くなるほど写真にノイズが乗って画質が犠牲になっています。
だからこそ『高感度に強い』ノイズの少ないカメラが人気になるわけですが、その辺りは割愛。
フィギュアを撮影する場合はノイズを極力減らすために最低感度、尚且つF値を絞るため、SSは手持ちの限界を遥かに超えてしまいます。
そのため、三脚での撮影が必須になるわけですね。
フィギュア撮影をする場合は最低感度で。
覚えておきましょう。

 

撮影時の焦点距離は換算50mm以上で

焦点距離とはレンズの広角、望遠を数値化したものです。
単純に○○mmだと分かり辛いですが、焦点距離は画角(視野角)で表す事が出来ます。
例えば35mmだと63.4°の画角となり、ファインダーや液晶には、その角度内の風景が写りこみます。
フィルムカメラの時代から慣れ親しんだ人にとっては、焦点距離でファインダーを覗いた時に写る範囲が大体分かるそうです。
凄いですね。
私なんかさっぱりなのに(笑)。

しかし、これは35mm版フィルムカメラと同じ大きさのセンサーを使っている場合です。
デジカメはそれよりも小さなセンサーを使っている事が殆どなので、焦点距離はそのままの数値と画角にはなりません。

 

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私の持っているPowerShot S95を例にすると、焦点距離は6.0~22.5mm。
しかし実際に見る項目は『35mmフィルム換算』の方で、28~105mmがこのカメラの焦点距離となります。
つまりS95では焦点距離は約4.7倍になっているわけですね。
35mm換算した数値で、50mm程度の画角がフィギュア撮影には望ましい・・・と言う事です。

では何故50mmなのかと言うと、人間の視界で見た感じに近いからですね。
つまり『見たまま』の自然な状態で写ってくれるのが50mm付近。
歪みが少ない写真が出来上がります。
それよりも広角だと、レンズが球体になっていく関係上、どうしても写真に大きな歪みが出てしまいます。
ですので、女性相手に広角レンズで撮ったら嫌がられます(笑)。
なるべく50mm付近を使うようにしたいですね。

 

ただ自然だからと言って50mmにこだわり過ぎると、フィギュアのアップ写真を撮る場合など、照明の取り回しに非常に困ります。
顔にアップする場合、フィギュアにくっつくぐらい近寄らなければならないので、カメラ自身が照明の影になってしまったり、レフ板や照明自体に引っ掛かってしまう事も珍しくありません。
ですので広角は歪みが酷いのでタブーですが、望遠側はそれほどでもないので気にする必要はありません。
と言う事で、換算50mm~160mmの間で収まる程度の焦点距離で撮影するのがベストだと思います、はい。

 

背景紙を使う

私自身がガン無視してきた項目です(笑)。
良い背景紙が写真のバックにあると、見違えるぐらい全体が引き締まります。
何だかとても上手くなった気分になりますね。
ただ・・・下手な背景紙を使うと、色々な問題を引き起こします。
また背景に布を使う人も多いですが、実は難易度がかなり高いです。
最初は無難なグラデーションペーパーがお勧めです。
デジイチならともかく、コンデジであれば解像度は低いため、多少印刷面が荒くても分かりません。
安物で十分ですね。
その際に選ぶ色は、無難にホワイト~ブラックへ変化する背景紙にしましょう。
最初の写真で使っていた物ですね。
初めて使う場合だと、効果は抜群です。

 

光源以外の照明は消す

こちらも特に書きませんでしたが、他の照明の光があると、WBが崩れる事があります。
何故かと言えば、同じような光の色に見えても、それぞれ色温度が違うからです。

例えば家庭の天井に取り付ける、標準的なシーリングライトは昼光色(色温度は6500K)ですが、RIFA-F等で使う電球型蛍光灯は昼白色(色温度5000K)です。
撮影機材に昼白色が使われるのは昼白色の方が自然に見えるから・・・だとは思いますが、見ての通り色温度が違います。
単体で使うならマニュアルWBで調整してしまえば問題ないはずですが、複数の色温度の光源が混じるとWBが崩れるので、色合いが微妙に変わってしまいます。
そのため余計な光が入り込まないように、光源以外の照明は消灯してから撮影を始めるようにしましょう。
私も部屋の照明の消し忘れで、撮影した写真を泣く泣く破棄した事が何度もあります(笑)。

 

レフ板を複数用意する

複数の光源を用意するのは大変ですし、お金が掛かります。
メインライト一灯のみで撮影をする場合には、光を反射させるレフ板が大いに役に立ちます。
影を明るくする物は、白色と銀色がありますが、それぞれ反射率が異なります。
用途によって、両方用意しておくと捗りますね。

また、大きさが違うものを複数用意しておくと、様々な場面で役立ちます。
フィギュアは大きさもポーズも商品によって異なりますから、以前まで普通に使えていた物が、今回の撮影対象だと余り役に立たない・・・と言う事も珍しくありません。
右から左から上から下から・・・と複数の状況に応じて用意しておくと、便利ですね。
私は3枚しか持ってないけどね!

ちなみに自作する場合ですが、以前は写真電気工業様の楽天市場店にレフ板の作り方が載っていたのですが、楽天市場から撤退して該当ページも消えてしまったので、アレンジを加えたKimagureman! Studio様のHPが参考になるのではないかと思います。
市販のレフ板は携帯には便利ですが、自立させるのが難しいので、自作した方が使い勝手が良いです。

 

余りぐだぐだ書いても仕方がないので、この辺りで。
殆ど基本中の基本のような感じですが、知っているのと知らないのとでは大違いです。
その辺りを大事にして、次のステップへ進みましょう。

 

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