【Steam】ENDER LILIES: Quietus of the Knightsの製品版を買ってみた

 

ついに、ENDER LILIESの製品版が発売になりましたね。
アーリーアクセス版をプレイしてみて、正式版の発売をじっと待ち望んでいました。
プラットフォームはSteamは元より、switch、XBOX、PS4、PS5と幅広く発売されています。

まず結論から書きますと、神ゲーには届かないものの、紛う事なき良作でした。
アーリーアクセス版で神ゲーの片鱗は見せていたのですが、終盤がちょっと思うところがあって、この評価に落ち着きました。
でも、こんな楽しいゲームは久々だよ!

 

どんなゲームか

 

ENDER LILIESはメトロイドヴァニア系のダークファンタジーです。
死の雨によって滅び去った王国を舞台に、記憶のない少女『リリィ』と、穢れとなっても意識を失わなかった『黒衣の騎士』と共に、王国が滅び去った謎を解き明かしていく……と言う感じのストーリーです。

ゲームの形としてはオーソドックスなメトロイドヴァニア。
しかし隅々まで丁寧に作られていて、非常に完成度が高い!
欠点がほとんど見当たらず、全てにおいて水準が高い良作となっております。

主人公の『リリィ』は穢れを浄化する能力を持っており、本人には戦う力はありませんが、その代わりとなって戦うのが『黒衣の騎士』を始めとする不死の戦士たち。
スキルと言う形で攻撃時に姿を現し、その力を振るってくれます。
それらの攻撃手段は各エリアの中ボスやエリアボスを倒すたびに増え、リリィを苦しめた力を今度はリリィを助けるために振るうと言う何ともエモい設定となっています。

また各地にはかつての住人たちが書き記したメモが残され、その断片を集める内に王国に何が起こったのかが分かるようになっています。
徐々に解明していく謎を楽しむのも醍醐味と言えるでしょう。

 

そもそもメトロイドヴァニアとは?

 

改めておさらいです。
ENDER LILIESは『メトロイドヴァニア』と呼ばれるジャンルのゲームです。
メトロイドは、もちろん任天堂のあのゲームの事ですヨ。
『メトロイドヴァニア』と言う名称は正式なものではなく、元々は海外で作られた造語だそうですね。

その定義としては、横スクロールの2Dアクションで、MAPを探索してアイテムやスキルを入手する事によって探索の範囲が広がっていくゲームの事を指すようです。
システムによってレベル上げと言うRPGの要素があったりなかったりしますが、2D横スクロールMAP探索型アクションゲーム、と言う認識でOKです!

 

戦闘的なシステムな話

XBOXのコントローラー基準で話をしますね。
興味ない人は読み飛ばすといいよ!

 

リリィは非力な少女ですが、高いジャンプ力や段差をよじ登る程度の力、かなり使い勝手の良い回避行動が行えます。
どこが非力か。
この娘、数十m落下しても何の問題もなく着地するんだぜ……。

閑話休題。

X、Y、Bの3つのボタンに好きなスキルを割り当てられて、スキルそのものはボタンを押すだけで発動可能となっています。
これが主な攻撃手段になる訳ですね。
スキルのセットは2つまで設定可能で、RBボタンで自由に切り替えができます。
スキルはメインスキルとサブスキルに別れ、メインスキルはリキャストタイムなしで使いたい時に発動可能。
直接攻撃系は無限使用できますが、遠距離攻撃系は使用回数が定められています。
サブスキルはそれぞれ使い勝手に癖があり、使用回数も少ないですが一撃一撃が強力です。
その代わりリキャストタイムが定められており、一度使用すると一定時間使えなくなります。
これで何度ピチュッたか!
スキルの数は26種類と必要十分。
組み合わせを考えるのも楽しいですね。

 

攻撃の回避は左右移動やジャンプ、回避行動で行う事になります。
回避行動は他のゲームでいうローリングで、回避行動中は無敵なので敵をすり抜ける事も可能。
むしろ、重要なテクニックとなります。
ストーリーが進むとパリィもできるようになり、こちらも高性能。
使い分けて攻略していく感じになると思います。

 

LBボタンの長押しでライフの回復。
正確には結界の修復ですが、初期状態では最大3回までの回復が可能になっています。
回復量はアイテムを手に入れるごとに増えていき、使用回数もレリックを装備する事によって増やすことができます。
ただ回復には一瞬とは言えタメ時間が必要になるため、考えて使わないとピチュります。
こちらも時間を短縮できるレリックがあり。

 

その他にもエリアボスを倒すたびに固有アクションが追加され、二段ジャンプを始めとして、水中行動や肉腫の破壊など、行動範囲が次々に広がっていきます。
既に踏破済みのエリアでも、新たにアイテムや部屋を発見する事もできるので、ユーザーを飽きさせません。

 

一応レベルの概念がありますが、レベルが上がっても攻撃力が少し上昇する程度で、それほど大きな影響はない感じ?
しっかり探索していれば自然にレベルは上がるので、経験値稼ぎは実績を解除するために最後の方にちょろちょろする程度です。

 

難易度について

メトロイドヴァニアと称されるゲームは、難易度は高めの傾向があります。
ENDER LILIESもその名に恥じない程度の難易度で、基本は死にゲー。
死んで覚えていく形になっていますね。

とは言っても、実際の所はコアユーザーが難しいと言うほどでもない絶妙なバランスになっています。
ライトユーザーが諦めずに頑張ればクリアできるぐらいの感覚でしょうか。
その分、コアユーザーには物足りない難易度となっているようですが、ボスも歯ごたえのある相手が多く、なかなか楽しませてくれる仕上がりとなっております。

 

さて、ある程度理解したところで、このゲームの良かった所を紹介していきましょう。

 

繊細で美しいグラフィック

 

滅び去った王国だけあって、屋外は常に雨や雪が降り注ぎ、町並みは風化しています。
全体的に灰色の暗い色調となっていますが、それ故に照明の光や、光が差し込む室内、植物の輝きなど、幻想的な光景を作り出しています。
退廃美と言う奴ですかね。

またリリィの細かい動作や、敵味方の考えられたモーションなど、しっかりとした作り込みが感じられました。
リリィに付き従っている3つの魂が、待機状態やレストポイントでリリィの周辺に姿を現したりと、決して一人ではないぞと言う頼もしさすら感じます。

 

音楽が素晴らしい

タイトル画面からすら良いと分かるレベルの、非常にクオリティの高い楽曲となっております。
全体的に暗く、切なげな曲が多いですが、思わずサントラを買っちゃうぐらいの魅力がありますね。

曲を担当しているのは、音楽グループMili。
近年では、ゴブリンスレイヤーのOP曲を手掛けたと言う事で有名ですね。

 

レストポイントが多い

 

いわゆる休憩場所ですね。
HPやスキルの全回復、セーブができる場所のことです。
このゲームではレストポイントがファストトラベルの地点を兼ねているのですが、その数が多く、MAPを3つ程度抜けると大体レストポイントにたどり着けるような親切設計。
そのお陰で広いマップをいくつも移動しなければいけないストレスがかなり軽減されていて、行きたい所にさっと行けるのが非常に良い!
ただ各MAPの難度もレストポイント前提に作られているっぽいので、油断するとすぐに乙ります。

 

デスぺナルティはなし

高難易度のゲームには最後にセーブした状態に戻されたり、デスペナがあったり……と言うのがありがちですが、このゲームに関しては特に何もありません。
稼いだ経験値、入手したアイテム、探索したMAPの情報など、全てを失わずに最後に立ち寄ったレストポイントにリスポーンされます。
このお陰で、難しいMAPやボスに何度でも挑めるのは非常に良き事。
ロードもほぼないので、非常に快適。

 

スキルに死にスキルがない

いいですね。
スキルが多くなるとどうしても死にスキルと言うものが出てくるわけですが、本作にはそれがありません。
使い慣れたスキルの方が良いと言うのはありますが、ゲームを進めるうえでそのエリアに合ったスキルを選択する方が良いからです。
その結果、自分では使わないなーと言うスキルが、他の人にとっては使いやすいスキルだったりと、とにかく君が使いやすいスキルを使えばいいよ!
と言う正解のないゲームになっています。
いいね!

ただやはり、終盤に手に入るスキルを使う事は殆どないので(使い慣れたスキルの方が良い)、そういった意味で不遇なスキルはありますね。

 

もちろん、世の中には完璧な物など存在しません。
欠点もいくつかあります。
その辺りもいくつか紹介しましょう。

 

敵のホーミング弾が非常に鬱陶しい

このゲームの欠点のひとつですね。
序盤から、ガンガン遠距離攻撃が誘導してきます。
避けられない事はないのですが、大抵複数体で登場するので、着地の瞬間など良く当てられて結構ストレス。
しかも威力が半端でなく、拳や武器で殴られるより遠距離攻撃の方が痛いと言う困ったちゃん。

特に後半以降になると一撃でライフの1/4とかを持っていかれたりもする上に、弾速も反応が難しくなる程度に速くなると言う鬼畜仕様。
あの魚許さんぜよ。
そのお陰で終盤は面白みに欠けるところがあったので、この辺りはもっと調整して欲しかった所。

 

基本的にノーヒント

 

このゲームでは全てのアイテムや情報を回収すると、MAP単位でオレンジ色に変わります。
つまり、何かを取りこぼしているMAPが一目瞭然なのですが、その回収方法については完全にノーヒントです。
天井付近に見える形で設置されている場合もありますし、地面の下に隠されていたりもします。
後はスキルやアクションを駆使しないとたどり着けない画面外に配置されていたりもし、それらも含めて自分で探すしかありません。
とは言え、よ~~~~く見れば完全なノーヒントのアイテム配置と言うのはないので、不親切ではあるけど理不尽ではないと言う感じですかね?

ただ、多くの人の主戦力であろう黒衣の騎士のパワーアップアイテムである『古き魂の残滓』の最初の入手方法は、ちょっと酷いんじゃないの?
ゲルロッドやシルヴァがあれば確かに困らないかも知れませんが、それでも入手できないままチャプター5どころか最後までいってしまった人は結構いるのでは……と予想されます。
下手したら、最後までレベル1と言う事もあり得るかも知れない。

なので、ヒント画像だけは置いておくよ!
この部屋に行くのに、特殊なアイテムとかは必要ないデス。

 

 

最後まで陰鬱としている

これはそう言う世界観のゲームなので仕方がありませんが、本当に最後まで明るい話題がありません。
最初から陰鬱なのに、話が進むに従っての救いようのなさは何とも言えないな?
ダークファンタジーの本領発揮と言った所ですが、慣れてない人は音楽も相まってガリガリとSAN値を削られていくことでしょう。
特にリリィの変化が痛ましくてねえ……。
それ故に神ゲーなのに素直に万人に勧められない位置付けになっております。
好きな人にとっては、本当に最高のゲームなのですけれどもね(笑)。

 

全アイテムを集めても、スキルレベルをMAXにできる数は限られている

このゲームのスキルの最高レベルは6Lvです。
しかし全MAPを探索済みで埋めても、メインスキルをひとつ6Lv、サブスキルを2~4個6Lvにする程度にしか残滓を入手する事ができません。
特にメインスキルは、満遍なくLv5に上げていた場合、ひとつもLv6にできない可能性すらあります(黒衣の騎士は固定アイテムなので問題ないですが)。
一応救済処置なのか、オブジェクトを破壊するとたまに残滓が手に入ったりもしますが、わずかな量なのでこれで数を補うのは現実的ではありません。
なので、レベルを上げたいスキルはかなり厳選する必要があります。

 

やり込み要素がない

上でスキルレベルについて書きましたが、やり込み要素と呼べるような物がないため、真のエンディングを迎えた後に殆どやる事がありません。
と言うのも、真のエンディングを迎えるためには色々とアイテムが必要となり、その過程で大体のMAPが回収済みになってしまうのですよね。
綺麗なエンディングの後に蛇足と言えば蛇足なのですが、後半以降で手に入るスキルは殆ど使う事がないか、使っても僅かの時間のため、活躍の場をあげて欲しかったですね。
反響によってはDLCも考えているとの事ですので、皆さん、ガンガンプレイしてガンガン感想を挙げましょう(笑)。

 

終盤のMAP作りが非常にアレ

ネタバレ含むので、気になる人は読み飛ばしてね!

 

 

さて、Aエンディングまでは完璧に近い作りのゲームですが、終盤になると綻びが見え始めます。
設定上なのか、単純に難易度を上げるためなのか、エリアのほぼ全体を常時スリップダメージを受ける空間に仕上げてしまったのです。
強力な敵を相手している間にもライフはガリガリ削られていき、ゆっくりと探索する事もできません。
レストポイントの間隔は今までとそう変わりはないものの、そこにたどり着くまでに何度も撤退を余儀なくされる事になります。
単純に難易度を上げるためにやった、とか言われても驚きませんよ?
これは正直禁じ手では?

とは言え、そのバランスも腹が立つことに絶妙で、敵の位置や倒し方、MAP構造さえ把握できれば割と問題なく駆け抜ける事ができるようにはなります。
そこはさすがだと思います。
しかしですねえ……このゲームの評価が神ゲーから一段階下がったのもこのエリアのせいなのは間違いなく、多くの人が快く思ってないのは確かです。

またラスボスに繋がるMAPをダメージ超の超高速弾を放つ浮遊漁のみで締めたり、それをラスボスのメインアタッカーに据えたりするのはどうかと思うのですよ?
MAPの作りや戦闘に面白みがまったくない。
その辺りはとても残念だな~と思いました。

 

 

では最後に、スキルの使用感なども書いておきます。
使ってたやつだけね!

 

  黒衣の騎士

最初から使えるメインスキル。
全てにおいてバランスが良く、隙も少ないため回避行動もしやすい。
メインスキルにおいて最優の存在。
しっかりレベルを上げておけば、あらゆる場面に対応できる。
水中でも使用可。
ただしレベルアップに必要な残滓が、最速でチャプター4での入手となっていて、入手のバランスがやや悪い。
更に割と難度の高い場所に隠されているため、下手したら最後までレベルが上げられなく、スタメン落ちする可能性があるのが最大の欠点。
ただしスキルレベルを上げるための残滓は全スキル唯一の固定アイテムなので、確実に6Lvにまで上げられるのが強み。
なお、奥義は空中の方が強い。

 

  老戦士ゲルロッド

対ボス戦に無類の強さを誇るメインスキル。
特にラスボスに対して尋常じゃないほどの効果を発揮する。
出が遅く、隙が大きいのが難点だが、敵のバランスゲージを大きく削るため転倒させやすい。
また空中で攻撃力が下がらないため、空中の敵にも有効。
とにかく火力は高いので、育てない手はない。

 

  黒の魔女イレイェン

回数制限のあるメインスキル。
ホーミングする弾を飛ばす対空兵器だが、追尾性能は大したことはないので期待はしない事。
しかし対空兵器が基本的に露払い程度の火力しかない中で、中々にエグイ火力を誇る。
攻撃後の硬直時間がやや長いと言う問題はあるが、道中は元より様々なボス相手に遠距離攻撃用のスキルとして活躍する。
水中で使える事も大きい。
何よりも、奥義が超強い。

 

  守り人シルヴァ

ゲルロッドは振りが遅く隙が大きいため、普段遣いにするのであればこちら。
速度、火力がそこそこ高く、溜め攻撃は殆どの攻撃を無効化する機雷っぽい敵であってもダメージを与えられると言う優等生。
空中での攻撃アクションで僅かながら上昇もできるので、他のアクションとスキルを組み合わせると行ける場所がぐっと広がる。
第二のメインスキルとして常用しておきたい。

 

  首なしの騎士

大正義。
これがあるのとないのとでは、道中やボス戦の難易度が大きく変わる。
攻撃を受け止めた上でカウンターを入れるスキルだが、ダメージを無効化した上に大ダメージを与えられるので使い勝手は非常に良い。
発動のタイミングさえ掴めば回避やパリィよりもタイミングは取りやすいので、道中、ボス戦問わずほとんどの場面にて活躍可能。
仮にリキャストタイムが短かったら、もうこいつだけでいいんじゃないかなと言うぐらいのぶっこわれ性能。
壺と好みは分かれるが、どちらかはぜひ育てよう。

 

  西の商人

序盤に手に入る上に、最後まで使える最優のスキル。
スキルを使うとリリィの傍に常駐し、敵に向かって複数のホーミング弾を放つ。
プレイヤーの意志に関係なく、回避行動中でも自動で攻撃を続けてくれる。
レベルが上がるほど弾の数や火力が上がるため、真っ先に育てておきたい。
ただし自動攻撃は攻撃が届く範囲に入れば判定されるようで、射線が通ってなくてもぶっぱするので残弾を無駄に消費しやすい。
また威力的には物足りなく、空中の敵も複数回当てないと倒せないため、攻撃の補助程度に考えよう。

 

  菌の魔術師

スリップダメージを与えるスキル。
動かない、動きの遅い敵に対しては鬼のような強さを誇る。
できるだけレベルを上げておくと、様々なところで活躍する。
特にラスボスに対しては効果が高い。

 

  花の魔術師

バランスゲージ削りが鬼な対空兵器。
空中で鬱陶しい敵にはとにかくコレ。
叩き落としてドついてしとめるスタイルとなるので、同じくゲージ削りが強いゲルロッドやシルヴァと組み合わせて使うのが吉。
ボスにも有効。

 

  堕ちた弓使い

最強の対空兵器。
対空スキルは用途の割りに火力が足りなくて露払い程度の性能が大半だが、このスキルだけは例外。
性能的にはいわゆるショットガン。
矢が当たるほどダメージが増加するので、接近して使用すると大火力となる。
レベルを上げれば上げるほど使い勝手が良くなるので、是非育てよう。

 

  腐竜の孤児

菌の魔術師の広範囲版。
動かない敵に効果覿面、範囲も広い。
対ラスボス用兵器として活躍できる。

 

  なれ果ての衛兵

前方に向かって真っすぐ突進しダメージを与えるスキル。
出が速く、思い描いた結果になりやすいため使い勝手が良い。
堕ちた弓使いの方がダメージが大きいが、あちらは斜め上に発射される分使い勝手としては劣る。
ジャンプしてからの対空兵器としても使えるので、育てるのが吉。

 

  暗部の執行人

敵の背後から切りつける盾殺し。
威力は高くはないが、リキャストタイムが短く、それなりに連射も可能なので使い勝手は悪くない。
ただし射程距離は思ったよりも短く、目算で画面半分ぐらいになり、それを超えると目の前で空振りしてくれます(笑)。